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出世払いは冗談で済まされない?場合によっては返さなくてはいけないの?

法律に関係する言葉
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金銭の貸し借りなどに際して、「出世払い」という言葉が使われることがありますね。

普段何気なく使うことが多いと思いますが、一般的に、出世払いは返さなくてもよいと考えられているようです。

ですが、場合によっては、返済する義務が生じることをご存じでしょうか。

たとえ冗談で言った場合でも、返済しなければならないケースもなきにしもあらずなんです。

この記事では、出世払いの意味を確認したうえで、返さなくてはいけない場合や冗談で言った場合にどうなるのかについて、詳しく解説しています。

そもそも出世払いの意味は?

まず、「出世払い」の意味を確認しておきましょう。

出世払いとは、文字通りに解釈すると「出世した後に支払う」という意味です。

具体的には、金銭や何らかの貸し借りにおいて、「出世または成功してから返済する」という約束を指します。

ただし、実際の使用シーンでは、この言葉にはもう少し柔らかいニュアンスが含まれています。

例えば、ある先輩が後輩に「今日の食事代は出世払いでいいよ」と言ったとします。
この場合、先輩は後輩に対して、今すぐに食事代を払う必要はないと伝えているわけです。

また、このとき、単に「返さなくてもいいよ」という意味で使われることもよくあります。
つまり、出世払いという言葉には、相手に対する思いやりや、経済的な負担を軽減させる意味合いが込められているのです。

さらに、出世払いは、ある程度親しい間柄で使われることが多いです。

例えば、上司と部下、先輩と後輩など、信頼関係が築かれている人同士の間で使われることが一般的です。

法律関係の教科書やテキストなどでは、「学生時代の友人があなたにお金を貸してくれたとします」という例えをよく見かけると思います。
友人が「将来成功したら返してくれればいいよ」と言ったとしたら、もちろん、これも一種の「出世払い」と言えます。
友人はあなたの将来を信じて、今すぐの返済を求めていないというわけです。

このように、出世払いという言葉には、相手への信頼や支援の気持ちが込められているということになります。

出世払いは返さなくていいの?

上記のように、出世払いとは、単に金銭の貸し借りを意味するだけでなく、後輩の将来を信じ、応援する気持ちの表れでもあります。
このような場合、出世払いは形式的なものであり、実際に返済を求めることは少ないでしょう。

ですが、法的な観点からすると、出世払いの約束をした場合、返済しなければいけないケースがあります。

実際に大正時代に争われたもので、有名な判例があります。

判例では、出世払いは「出世しなかったら返済しなくてもいい」という約束ではなく、「出世した時点、または出世の見込みがなくなった時点まで返済を猶予する」という意味の約束だと解釈されました。

この判例のポイントは、出世払いが「停止条件」ではなく「不確定期限」と見なされたことです。
停止条件とは、特定の条件が成就した場合にのみ効果が発生するものを指します。

ところが、判例では、出世するかしないかは不確定ながらも、いずれかの時点で確実に訪れると見なされ、その時点が返済の期限とされたのです。

この判例により、出世払いの約束は、単に「出世したら返す」というあいまいな約束ではなく、より具体的な法的な意味を持つことになりました。
出世がない場合でも、一定の時点で返済義務が生じる可能性があるということです。

このように、出世払いに関する判例は、契約の解釈において重要な指針を提供しており、法的な観点から見ると、出世払いは単なる社交辞令ではなく、具体的な法的効果を持つ可能性があることを示しています。

さらに、現代では奨学金も出世払いの一形態と見なされることがあります。

奨学金は、学生が将来成功した後に返済するという点で出世払いの考え方に似ています。
しかし、奨学金の場合は、返済義務が法的に明確に定められており、返済が困難な状況に陥る学生も少なくありません。

このように、出世払いはその文脈や関係性によって、返済の義務が異なることがあります。

親しい間柄での気軽な言葉として使われることが多い出世払いですが、法的な側面や実際の返済義務には注意が必要です。
信頼と支援の気持ちを表す一方で、その背景には返済の可能性が潜んでいることを理解することが大切ですね。

では、出世払いを冗談で言った場合はどうなるのでしょうか?

一般的には、そのような発言は真剣な契約の意思表示とは見なされないと考えられます。
法律上、契約は当事者の真剣な意思に基づいて成立するため、冗談や社交辞令としての発言は、契約の成立要件を満たさないからです。

出世払いの約束が法的に有効な契約として成立するためには、契約当事者間で真剣な意思の合致が必要です。
つまり、両者がその約束を真剣に受け止め、実際にその通りに行動する意志があることが求められるというわけです。

ただし、冗談であっても、相手方がその発言を真剣な契約の申し出と捉え、それに基づいて何らかの行動を取った場合(例えば、金銭を貸し出すなど)、状況によっては「信義則」に基づく一定の法的責任が生じる可能性があります。

信義則とは、契約関係において当事者が誠実に行動することを要求する法の原則です。

また、おごってもらった側、借りた側が「出世払いでお願いします」というような冗談を言った場合も同じように考えられます。

とはいえ、やはり、冗談や社交辞令としての「出世払い」の発言は、真剣な契約の意思表示とは見なされず、法的な拘束力を持つことは少ないものと思われます。

重要なのは、その発言がどのような文脈で行われ、当事者間でどのように理解されているかになりますね。

というわけで、冗談で「出世払いで」と言った場合、通常は法的な拘束力はありませんが、相手方がその発言を真剣な契約の申し出と捉え、それに基づいて具体的な行動を取った場合、状況によっては一定の法的責任が生じる可能性があります。

そのため、冗談であっても、特に金銭に関わる発言には注意が必要になるというわけです。

まとめ

出世払いは、親しい間柄での気軽な言葉として使われることが多く、相手への信頼や支援の気持ちを表す表現です。

しかし、法的な側面から見ると、出世払いの約束には返済義務が生じる可能性があり、冗談であっても相手が真剣に受け取れば法的責任が生じることも。

このため、出世払いの発言には、その文脈や相手との関係性を考慮し、慎重に扱うことが大切です。

信頼と支援の気持ちを込めつつも、その背景にある法的な可能性を理解し、適切に対応することが重要になりますね。

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