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会社法上の支配人の意味とは?社長とはどう違う?

会社法
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「支配人」と聞くと、多くの人がレストランやホテルの責任者を思い浮かべるでしょう。

ですが、会社法における「支配人」は、この一般的なイメージとは大きく異なる役割を持っています。

また、「支配人」は「社長」と混同されることもありますが、この両者も実は全く異なる存在です。

この記事では、会社法の「支配人」の具体的な役割と、一般的な「社長」との違いについて詳しく説明しています。

支配人とは?

会社法上の支配人は、特定の法律的な役割を持つ存在です。
一般的な「支配人」という言葉のイメージとは異なるものです。

一般に「支配人」と聞くと、ホテルやレストランなどの施設を管理・運営する責任者を想像するかと思います。
日々の業務を指揮し、顧客サービスの質を保持するなど、その施設の顔として活動しているという感じですね。

対して、会社法における「支配人」とは、その会社の業務執行を代表する法律上の地位を持つ人物を指します。
会社に代わって、本店または支店の事業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有しています。

例を挙げると、ある建設会社の支配人が、大規模なプロジェクトのための土地購入契約を結ぶ場合、その支配人は会社を法的に拘束する契約を締結する権限を持っています。

この場合の支配人は、単に施設や従業員を管理するだけでなく、会社の経済的・法的な責任を一手に引き受けることになります。

このように、会社法上の支配人の役割は、一般的な支配人と比較して、はるかに大きな法的な責任と権限を伴います。

また、会社法上の支配人の地位は、その人物が持っている権限によって定義されますが、その職位や役職名が何であるかは関係ありません。

つまり、会社から法人を代表する権利や重要な業務執行権を与えられているかどうかが、その人物が法的に「支配人」とみなされるかどうかの基準となります。

例えば、「支配人」や「営業所長」「工場長」などの肩書を持つ人物がいたとしても、その職務が日常的な運営管理に限定されていて、会社全体の意思決定や重要な契約に関与する権限が与えられていなければ、その人は会社法上の支配人とはみなされません。

逆に、「事務員」という名前の役職でも、会社から重要な契約を結ぶ権限を与えられていれば、法的な意味で支配人としての地位を持つことになります。

少し極端な例かもしれませんが、役職名や肩書は関係ないということです。

ただし、注意したいのは、支配人はあくまで使用人であるという点です。

これは、支配人が会社との雇用関係に基づいて業務を執行している従業員であることを意味します。
会社に雇われて仕事をしており、その指示のもとに日々の業務を行っているということです。

支配人は会社から権限を与えられて重要な役割を担うので、取締役や役員と混同されることがありますが、法的な位置づけは異なります。

基本的に、取締役や役員は会社とは委任関係にあります。

つまり、会社に雇用されているわけではなく、株主から委任を受けて業務を遂行する責任を担っているということです。

一般的に「従業員が出世して取締役になる」というイメージがあるかもしれませんが、法的には取締役としての地位は委任に基づくものであり、支配人とは役割と責任の性質が根本的に異なります。

社長とは?

社長とは、一般的に会社の取締役の中から選ばれ、取締役会を代表する代表取締役を指します。

社長は会社の経営方針や戦略を決定し、外部に対して会社を代表する権限を有します。

この点で、社長の役割は会社法上の支配人と重なる部分がありますが、社長は通常、会社の最高経営責任者として広範な業務執行権を持ち、会社全体の運営に関わる重要な意思決定を行います。

ただし、重要なのは「社長」という名称自体が、その人物に特定の権限を自動的に与えるわけではないという点です。

会社法では、「代表取締役」という地位が法的に重要であり、社長という肩書きがあっても、その人が法的に代表取締役としての権限を持たない限り、会社を代表することはできません。

例えば、大きな会社では複数の「代表取締役」が存在することがあり、その中の一人が「社長」として特に強い影響力を持つ場合がありますが、代表取締役の権限は肩書きではなく、定款や取締役会、株主総会の決定によって正式に与えられます。

これまた極端な例になるかもしれませんが、たとえ「社長」という肩書であったとしても、代表取締役として選任されていなければ、会社を代表する権限は持たないということになります。

支配人との違いは、支配人が法的に会社の特定業務を執行するために権限を与えられるのに対し、社長(代表取締役)は会社全体の運営責任と代表権を持つ点にあります。

つまり、支配人は特定の範囲や場所での限定的な業務を代表することが主な役割であるのに対して、社長は会社全体の最終決定権を持ち、会社を外部に対して代表する役割を果たしているということです。

支配人と社長の違いを簡単にまとめると?

支配人と社長の違いを簡単にまとめると、次のようになります。

  • 支配人:会社と雇用関係にある従業員で、会社から権限を与えられた範囲内で業務執行を担当する
  • 社長:会社と委任関係にある取締役の代表であり、会社の最高経営責任者として広範な業務執行権を持つ

また、以上のそれぞれの性質から、社長(代表取締役)は雇う側の人で、支配人は雇われる側の人という関係になるのが一般的です。

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