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保証人と連帯保証人の違いを分かりやすく説明!責任の重さにご注意ください

民法
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保証人と連帯保証人という言葉はよく聞くと思います。

そして、両者を同じものと思っている方も多いのではないでしょうか。

私も大学で法律の勉強をするまでは、保証人と連帯保証人の違いは、保証をする人数が1人か複数かだけの違いと思っていました…

ですが、両者は全く異なるもので、保証する人数は関係ありません。

責任の重さに違いがあるのですが、その違いをしっかり知っておかないと、自分が当事者になったとき、思いもよらないトラブルに巻き込まれる可能性があります。

というわけで、この記事では、保証人と連帯保証人の違いについてまとめました。

保証人と連帯保証人の大きな違いとは?

簡単に結論を言ってしまうと、保証人と連帯保証人の違いは、連帯保証人の方が責任が重いということです。

保証人と比べて連帯保証人の責任はかなり重いものであり、債務者とほとんど同じ責任を負うことになります。

そのため、個人が保証人になるときは、連帯保証人だけは絶対になってはいけないと、よく言われるわけです。

ですが、売買契約にしろ賃貸借契約にしろ、業者が保証人を必要とするときは、連帯保証人を指定するのが当たり前となっています。

では、連帯保証人の責任の重さはどれほどなのか?

以下に、保証人の責任と対比しながら説明していきたいと思います。

催告の抗弁

たとえば、自分の親族や友人(以下、Aとします)が、とある業者(以下、Bとします)から100万円の借金をしたとします。

このとき、自分がAの保証人だった場合。

Bから自分に借金の返済してくれと言われたとしても、「まずはAに請求してくれ!」と断ることができます。

(ただし、Aが破産手続開始の決定をうけたときと、Aが行方不明になったときは、断ることができません)

これは「催告の抗弁」と呼ばれるもので、民法452条で定められています。

しかし、自分がAの連帯保証人だった場合は、催告の抗弁が認められず、Bからいきなり借金の返済を請求されても、それを断ることができません。

検索の抗弁

自分がAの保証人である場合。

Bから自分に借金の返済の請求を受けたとしても、Aに借金を返すだけの財産があり、Aが普通に借金を返せる状態であることを証明すれば、Bからの請求を断り、「まずはAから返済してもらってくれ!それが無理なら、Aの財産を差し押さえてくれ!」と主張することができます。

これを「検索の抗弁」と言い、民法453条で定められています。

しかし、自分がAの連帯保証人だった場合は、検索の抗弁が認められず、Aに十分な財産があったとしても、Bからの借金返済の請求を断ることができません。

分別の利益

自分がAの保証人で、他にもAの借金の返済に関して保証人がいる場合。

このときは、Bから借金の全額の支払いを請求されたとしても、保証人の人数で頭割りした金額だけ支払えばよいとされています。

これを「分別の利益」と言い、民法427条や456条で定められています。

例えば、Aの保証人が自分を含めて2人いる場合は、自分の負担額は100万円÷2人=50万円となり、50万円を支払うだけでよいということになります。

ところが、自分がAの連帯保証人だった場合は、分別の利益が認められず、Bからの借金返済の請求があれば、その全額を支払わなければいけません。

極端な例になりますが、自分を含めてAの保証人が10人いれば、通常は100万円÷10人=10万円が自分の負担額となりますよね。

基本的に、それ以外の90万円については責任を負う必要はありません。

しかし、自分がAの連帯保証人になった場合は、自分を含めて連帯保証人が10人いたとしても、Bからの返済の請求があれば、100万円全額を支払わなければならないということです。

業者Bにとっては連帯保証人が何人いようと関係ない話で、連帯保証人の1人1人が借金の全額について返済をする義務を負うということになります。

債務者が債務整理をすると、保証人はどうなるか?

以上のように、連帯保証人は通常の保証人と比べて重い責任と義務が課されています。

ただし、債務者が債務整理をしたときは、保証人も連帯保証人も受ける影響は同じです。

たとえば、Aが借金の支払いができずに、自己破産したとしましょう。

この場合、AのBに対する債務はなくなりますが、保証人・連帯保証人の債務は消えません。

その後も、Bに対する借金返済の義務はずっとついて回り、Aが払わずに残してしまった借金全額を支払わなければならないということです。

連帯保証人の義務が消えるのは、どんなとき?

連帯保証人と通常の保証人との違いはお分かりいただけたと思います。

では、連帯保証人の債務が消えるときはどういうときなのか?

少し余談となりますが、以下にその事由を書き記しました。

弁済

当たり前のことですが、連帯保証人が債権者に対して債務の弁済をすれば、連帯保証人の債務はなくなります。

債務者の債務も消滅します。

弁済というのは、上記のAとBの借金の例でいうと、連帯保証人がBに借金全額を支払うことです。

更改

連帯保証人と債権者との間で更改があった場合は、主たる債務はなくなります。

更改というのは、契約によって従前の債務をそれとは別の新しい債務に代えることです。

上記の例でいうと、Bに対する借金返済の義務はなくなりますが、内容を代えた新しい債務は残ったままとなります。

この場合、Aの借金返済の債務もなくなりますが、新しい内容の債務は連帯保証人と同じように残ります。

相殺

連帯保証人が債権者に対して持っている反対債権で保証債務を相殺した場合は、主たる債務はなくなります。

相殺というのは、契約の当事者がお互いに金銭債権を持ち合っている状態なら、実際に両者が現金で支払わなくても、お互いの意思表示で決済したことになるという制度です。

上記の例でいうと、連帯保証人がBに対して何らかの100万円相当の債権を持っていれば、連帯保証人とBとの意思表示で、その債権とAの100万円の借金を相殺するということになります。

もちろん、この場合、AのBに対する借金はなくなります。

混同

連帯保証人と債権者との間で混同があった場合も、主たる債務はなくなります。

混同とは、債権と債務が同一人に帰属することを言います。

混同の具体例としては、債権者と債務者が合併したり、相続によって債権者と債務者が同一人に帰属したり、というものがあります。

上記のAとBの借金契約の例でいうと、連帯保証人がBと合併する、あるいはBの債権を相続するということになります。

さすがに、現実ではまず起きない現象だとは思いますが…

民法ではそういう規定もあるということです。

この場合も、もちろん、AのBに対する借金はなくなります。

まとめ

保証人と連帯保証人の違いは、責任の重さにあります。

連帯保証人は債務者と同等の責任を負うため、契約の際には慎重な判断が必要です。

とはいえ、実際のビジネスの世界では、連帯保証人が求められることが少なくありません。

そのため、家族や友人のためにサインすることもあると思いますが、その責任の重さをしっかりと理解しておくことが大切ですね。

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